私たちは、設立当初から独自の創造性に満ちた「知的美的サービス業」の確立を目指してきました。あくまで「ソフト」のクリエイティビティ(価値創造)を行うという姿勢を貫き、企業のより良い経営環境を創り、生活文化に新しい価値を付与していく、ということでビジネスを成立させる実践にこだわってきたのです。そのためPAOSでは、単品デザインの処理志向は極力採らず、個別のデザイン分野を専業的に究めるという方法論も選ばず、より人間的・社会的・文化的でボーダレス型の新しい価値を構造的に創出することを探求し続けてきました。これは、企業が経営全般にデザインを有効活用していくことの意義と有用性をプロジェクトを通じて具現化していこうとする私たちの姿勢を示しています。
PAOSを支え続けてきたもの、それは独自の絶えざる「核デザイン運動」の探求と展開です。市民生活・ビジネス活動・行政営為のいずれにおいても、知的・美的・感性的インフラストラクチャー(基盤)としてのデザインが、人々の暮らしの成熟化と共にますますその役割を拡大してます。この生活や社会における公分母的テーマの達成のため、現代の諸々の社会システムや生活環境の中で、私たちはデザインという側面からどのように応え寄与していけばよいのか。そこでは、マクロの視野での明快なグランドデザイン観を持つことこそ重要です。PAOSは自らを実験会社と捉え、社会的使命を担った新しい構想・新しい方法・新しい仕組みを創造し続けたいと考えています。
■PAOS創設の2年後に出した最初の企業広告(1970年)